死神的三角関係(グレル+ロナルド×ウィル)
「じゃあ、好きだって言ったらウィルは信じてくれる?」
常のごとくの浮薄な軽口にウィリアムは眉をひそめた。
「ふざけている場合ではないでしょう、グレル・サトクリフ。この区域の主管轄は貴方にあるんですから無駄口を叩く前にきりきり仕事なさい。まったく、この間から貴方といいロナルド・ノックスといい……」
そして、二人の背後ではロナルドが露骨にがっくりと肩を落としている。
「……スピアーズ先輩、あれでもまだ分かってなかったんですか……」
「あれでも?ちょっとアンタ、一体ウィルに何したってのよ?」
「別に。言っただけじゃ絶対理解してくれそうになかったからキスしただけです」
「……アンタねぇ!抜け駆け禁止だって言ったデショ?!」
「そんなこと言ったって、サトクリフ先輩が勝手に戦線離脱したんじゃないですか。その、ナントカちゃんにうつつを抜かしてるからこんなことになるんですよ」
「キー!アンタ後輩のくせに生意気ヨ!」
――何が何だか分からないまま口論に突入されてしまい、正直ウィリアムは戸惑いを隠せない。二人は一体何を争っているのか。白熱する口論に自分も何らかの形で関係しているのは気にかかるが、今はそんな事にかまけている場合ではない。なんとか二人を仕事に復帰させなくては定時に上がれなくなってしまう。二人がどれだけ残業しようが知ったことではないが、自分が巻き込まれるのだけは何としても回避したかった。
ウィリアムは特大の雷を落とすべく、思い切り息を吸い込んだ。
ロナルドは確実にウィル狙いだと思う。そんでグレルには敵視されてるといい。そんでもってウィル・グレル・ロナルドで三角関係恋模様を繰り広げてるといいよ!
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