過去を変えても… 時の逆行2




ジェイドがネビリムの私塾の先生に採用されてから1週間が過ぎようとしていた。

ジェイド「こんなに長く過去に滞在していいのでしょうか…いや、私はもうすぐ消える…どれだけいようと勝手ですかね」

ジェイドは教えるのは得意じゃないから弟子はとらない主義だったが成り行きでなってしまった教師というのはそう悪くないと思っていた。朝早くから訓練させられ、仕事上人の命を奪う事も多々あった軍人の仕事に比べると楽すぎてこれでいいのかと思う時もしばしばあった。
『今私のいない未来はどうなっているのだろう』
そんな疑問が浮かんできたこともあった。過去のジェイドを殺せば今のジェイドも消えジェイドの存在はこの時代からなくなる…そうなるとジェイドが軍隊に入隊してから殺した人たちは蘇るのだろうか…それよりももっと大きく変わる事はフォミクリーの存在だ。それがなくなるとルークも消えレプリカのイオン様やシンクも消える。そしてウ゛ァンもレプリカ大地を作るなんて言いださず平和に終わるのだろうか…ジェイドのわがままで世界がこんなにも変わるのはあまりいいと思えないが過去の自分を殺さない事にはきた意味がない。だがここで問題になるのが

ネビリム「カーティス先生!」
ジェイド「はい!」
ネビリム「何回呼んでも返事がないのでどうしたのかと思いましたよ」

そう、恩師ネビリムの存在だった。まだジェイドが未来のジェイドだと知らない…いや、知ったとしても殺そうと思っている事がバレればただじゃすまない。力ずくというわけにもいかない、ネビリムの実力はジェイドをはるかに上回っている。

ジェイド「すみません。少し考え事をしていました…それで、どうしました?」
ネビリム「この前行った実力テストの採点できました?」
ジェイド「………もうすぐ終わります。今日塾が終わったらネビリム先生の部屋へ持って行きますよ」

ジェイドはそう嘘をついた。テストの採点はすで終わっていたがネビリムと二人で話したい事があったからだった。
ジェイドは音素学の授業を担当していた。授業終了後過去のジェイドが今のジェイドに質問に来ることもしばしばあった。だが、今回の質問は

子ジェイド「…カーティス先生も第七譜術士なんですか?」
ジェイド「いえ…残念ながら使えませんよ。興味があるのですか?」
子ジェイド「いや…別にないです」

そういって子供のジェイドは立ち去ろうとした。

ジェイド「嘘はいけませんねぇ…あなたも第七音素を使えない…だから第七譜術士のネビリム先生に憧れてるんじゃないんですか?」
子ジェイド「!?」

過去のジェイドは驚いたように振り返った。思っている事をそのまま言われたから当然だった(未来のジェイドは自分の事だから知ってて当然なのだが)。

ジェイド「第七音素は素養のない者が使っても無意味です…やめなさい」
子ジェイド「………」

過去のジェイドは何も言わず立ち去っていった。
この時は説明不足だったと後悔するとは思ってもなかった。
夜11時をまわった頃ジェイドはネビリムの部屋(塾長室)に行った。最後の授業はとっくに終わり教職員も生徒も帰っただろうと思いながら…

ジェイド「失礼します…昼間言ってたテストの――」

ネビリムは机にうつぶせになって寝ていた。手にペンを持っているという事は仕事中だったのだろう。子供の頃はわからなかったが先生もそうとう疲れていたのだと今知った。寝かしておいてあげたい…だが話しを聞いてもらわないと…考えているうちにネビリム先生は起きた。

ネビリム「カ…カーティス先生!?起こしてくださればよかったのに…」
ジェイド「いえいえ寝顔が可愛かったものですから(笑)」
ネビリム「…////」
ジェイド「まぁ起こす間もなく起きたのですから寝顔なんて見てませんがね」
ネビリム「………」

ついいつも調子が出てしまったが本題はそんなことじゃない。

ジェイド「ネビリム先生はおいくつでしたか?」
ネビリム「女性に年齢を聞くのはよくないですよ…一応25ですけど」
ジェイド「これは失礼しました」

先生の年からすると子供ジェイドがあの事件を起こすまでまだ2年以上ある…とジェイドは勝手に思いこんでいた。

ジェイド「あなたはもし自分の死ぬ日と原因がわかっていれば…どうしますか?」
ネビリム「予言の話しですか?私は予言は信じないのですが…そうですね寿命以外で死ぬのなら極力避けたいと思いますね」
ジェイド「ではその死の原因が教え子絡みならどうします?」
ネビリム「生徒に殺したいと思われるような先生になったつもりはありませんけど…」
ジェイド「逆ですよ。生徒が死ぬかも知れない状況にありそれを助ければあなたが死ぬという状況です」
ネビリム「生徒を守って死ぬのなら本望です」
ジェイド「!………」

ネビリムならそういうだろうと思っていた…が、驚いてしまう。やはり尊敬すべき偉大な方だと全てを知って改めて自覚した。だが、ならあの時は恨まれてなかったのかという疑問も出てくる。まだ事件が起こってないのだからそんな問いは無意味だと思考を殺した。ジェイドはもう隠す必要はないと思った。今ネビリムに全てを話しても上手くいくという保証はないが何もしないなら過去にきた意味がない…

ジェイド「馬鹿な話しですが…聞いてくれますか?」
ネビリム「どうしたんですか改まって…」
ジェイド「私は…ジェイド・バルフォアの未来の姿なんです」


子ジェイドVSジェイド…!!
夢のバトルですよねバトルというか子ジェイドではどうしても30代後半鬼畜眼鏡には勝てませんけど!(笑)
そしてネビリム好きとして外せないのはしぇんしぇいの寝顔ですよハニー!!
ジェイドじゃなくてもばっちりしっかり記憶スクリーンに焼きつくまで眺めます。
とこんな頭の弱いコメントばかりで素晴らしい作品を汚すことになりはしないかと心配なんですがどうしても黙ってはいられなくて…!
本当にありがとうございますー!